入浴・入浴剤のこと

「症状別」入浴指導、介助を身につけよう

①高血圧
42℃以上の熱いお湯での入浴(高温浴)は血圧が急上昇しますので避けましょう。38~40℃のぬる湯でなら安心です。
特に冬の間、脱衣室が冷えていると血圧が上がりますので、脱衣室も暖めておきましょう。

②糖尿病
高温の湯に入りますと酸化ストレスが発生して糖尿病に悪い影響を与えます。38~40℃のぬる湯に入りましょう。
また糖尿病の薬を飲んでいる方は低血糖発作を予防するため食前は避け、食後に入るようにしましょう。

③高脂血症
高温浴は血液中のコレステロールを上げる可能性があります。お湯は40℃までにしましょう。
また、入浴だけでコレステロール値を下げることは困難ですので水中運動などを併用しましょう。

④心不全
重度の心不全の方は浴槽への入浴は避け、シャワーや60℃以下の低温サウナ、足湯だけにしましょう。
軽度の心不全の方も肩まで湯に浸かる全身浴は避け、みぞおちまでの半身浴にしましょう。
動悸や息切れが出たらすぐに浴槽から上がりましょう。

⑤脳梗塞後遺症(四肢麻痺)
お湯の中でのリハビリは関節が柔らかくなり、効果的です。理学療法士など専門職の指導の下に実施するとよいでしょう。
自宅のお風呂の場合は、浴槽の出入りで転倒の恐れがありますので無理せず介助をお願いし、動作に合わせた手すりの設置などを行うとよいでしょう。

⑥肺気腫 慢性気管支炎
お風呂に入って湯気を吸い込むことは痰を出しやすくするなどの利点があります。38~40℃のぬる湯に入って湯気をしっかり吸い込みましょう。
全身浴は胸郭を圧迫し呼吸が苦しくなりますので、みぞおちまで湯に入る半身浴にしましょう。

⑦在宅酸素療法をしている時
入浴中も酸素を吸入するようにしましょう。

⑧パーキンソン
体が硬くなりますので、浴槽への出入りは転倒しないよう注意が必要です。
湯の中では関節が柔らかくなるので軽い運動をすると良いでしょう。

⑨認知症
日中入浴すると入浴後眠くなって昼寝をしてしまい、夜不眠になって落ち着かなくなることがあります。
夕方以降に入浴するようにしましょう。

⑩腰痛
熱のある腰痛や起こったばかりの腰痛のときは温めるのは良くありません。2・3日して少し落ち着いてから入浴するようにします。
慢性の腰痛はお風呂でゆっくり温めると痛みが改善します。

⑪関節痛
熱があるとき、関節に赤みがある場合や痛みが起こったばかりのときは温めるのは良くありません。2・3日して少し落ち着いてから入浴するようにします。
慢性の関節痛はお風呂でゆっくり温めると痛みが改善し関節の曲げ伸ばしも楽になります。

⑫風邪
38℃を超えるような高熱のときを除けば、風邪のときにもお風呂に入っても問題ないと考えられます。
お風呂上りは湯冷めしないようすぐに体の水分をふき取って早く休みましょう。

⑬慢性頭痛
脈打つ頭痛のときは片頭痛であることが多く、入浴は控えます。
肩こりを伴う重苦しい頭痛の場合、筋緊張性頭痛であることが多く、温めると症状が和らぎます。ぬる湯にゆっくり浸かりましょう。

⑭傷、床ずれ
原則として入浴はかまいません。ただし湯船につかるときは、傷や床ずれによってお湯が汚れるのを防ぐために、傷を防水性の被覆材で覆いましょう。
最後に被覆材をはがして傷にシャワーをかけきれいにします。

20141119

健康づくりハンドブック 入浴指導介助編より