続いては「泉質名」です。
泉質名は療養泉(治療の目的に供しうる温泉)にだけ与えられます。
鉱泉分析法指針における療養泉の規定と泉質名
泉温の温度が摂氏25度以上で以下物質を含まないもの 単純泉
物質名 含有量 (1kg中) mg以上 泉質名 溶存物質 (ガス性のものを除く) 総量 1,000mg イオン組成により分類
塩化物泉
炭酸水素塩泉
硫酸塩泉遊離二酸化炭素(CO2)(遊離炭酸) 1,000mg 二酸化炭素泉 銅イオン (Cu2+) 1mg 含銅―含鉄泉 総鉄イオン (Fe2++Fe3+) 20mg 含銅―含鉄泉 アルミニウムイオン (Al3+) 100mg 酸性泉(含アルミニウム泉) 水素イオン (H+) 1mg 酸性泉 総硫黄(S) [HS–+S2O32-+H2Sに対応するもの] 2mg 硫黄泉 ラドン (Rn) 30×10-10Ci = 74bq以上
(8.25マッヘ単位以上)放射能泉
上記九つの太文字に大別され、さらにイオン名との組み合わせ、特殊成分により細分化されます。
正式な泉質名は、下記のように特殊成分と、陽イオン(プラスイオン)、陰イオン(マイナスイオン)の組み合わせとなります。
含硫黄―カルシウム・ナトリウム・マグネシウム―硫酸・炭酸水素塩泉
特殊成分 陽イオン(プラスイオン) 陰イオン(マイナスイオン)
溶存物質(ガス性のものを除く)が1,000㎎/㎏以上あると、塩類泉としての泉質名が付きます。
陽イオン、陰イオン各々で「ミリバル(mval)」という単位で20%以上の物質を含有量の多い順に泉質名へ反映し表記されます。
上記の例は、カルシウムと硫酸塩が最も多く含まれる泉質で、陽イオンは次いでナトリウム、そしてマグネシウムも20%を超えていることになります。陰イオンは硫酸塩(硫酸イオン)の他にも炭酸水素塩(炭酸水素イオン)が20%以上含まれていることになります。
先日ご紹介しました鹿の湯さんは溶存物質総量は1,000㎎/㎏に達していないため単純温泉なのですが、水素イオンと硫黄総量が療養泉基準を超えているため「単純酸性硫黄泉」ということになります。
by ひらおか