江戸時代から続く「湯の花小屋」

ワラぶきの湯の花小屋は“湯の花のゆりかご”とも呼ばれ、江戸時代から数百年経た今でも、その構造は全く変わっていません。
湯の花の栽培に必要な小屋内の温度・湿度を常に一定に保つという天然のメカニズムは、現代の科学をもってしても真似することができないのです。

湯の花のゆりかご

▲江戸時代の先人の知恵には驚くばかり

湯の花小屋の構造

別府の地は、山間から海に向かって扇状に開けています。
そして温泉が、山の奥から海に向かって分布しています。
山奥のものは高温で硫化水素を含んだ温泉ガスを吹き上げており、海の近くになるほどよい温度とマイルドな肌ざわりになってわき出ています。
別府温泉の湯の花は山奥の明礬温泉の温泉ガスから作ります。

この温泉ガスを原料に、いまも江戸時代と同じ方法で湯の花を採取します。
栗石、青粘土を敷いた床の上に、わら屋根をかけた「湯の花小屋」で作ります。
床下から吹き出た温泉ガスが床の上に湯の花の結晶を結び、40日ほどかけてじっくりと霜柱のように成長していきます。

湯の花小屋は常時50度くらいに保たれ、その機能は現代の粋を集めてもつくり出す事ができないほどの精巧さだということです。
成長した湯の花は手仕事でかきとられます。

他の温泉地にも湯の花はありますが、それらはたいてい温泉の中にとけ切れないイオウなどの沈殿物であるのに対し、別府の湯の花は温泉ガスと青粘土から生まれる温泉結晶といえましょう。
 

>> 噴気が生み出す“湯の花”>>

<< 1 2 3 4 5 6 7 >>