温泉由来のミネラルが豊富な別府温泉の湯の花

別府に産する青粘土と温泉の噴気ガスが作用して結晶化される別府温泉の湯の花。
湯の花小屋は、それを効率よく栽培するための化学工場なのです。
その分析結果には温泉由来のミネラルがたくさん含まれていることが伺えます。

重要無形民俗文化財

▲江戸時代から続く化学工場、湯の花小屋

■湯の花の成分表(当量百分率)<大分衛生試験場分析データより>
天然の湯の花は硫黄を含むことなく、青粘土中のミネラルをそっくりそのまま地上に結晶させます。まさに「温泉の結晶」です。

陽イオンとして陰イオンとして
アルミニウムイオン(Al3+) 80.01%
第一鉄イオン(Fe2+)     7.30%
第二鉄イオン(Fe3+)     8.65%
マグネシウムイオン(Mg2+) 2.34%
カルシウムイオン(Ca2+)   0.85%
ナトリウムイオン(Na+)     0.71%
カリウムイオン(K+)       0.14%
硫酸イオン(SO42-)     70.64%
酸素イオン(O2-)       28.72%
塩素イオン(Cl)        0.64%
 
 
 
※微量成分          3.72%

※微量成分について
オブクレイの特徴は別府温泉の天然湯の花エキス(EnRich Mineral)が使われている点は既にご承知の通りです。この中で特に大きな働きをするものか“微量成分”です。これは地中からもたらされる無機物の中でも、非常に量が少ないもの。けれどもそれらが相乗的に働いて、わたしたちの身体にさまざまの形で働きかけるのです。まだまだ未知の部分の多い微量成分という分野で、斯界の先生方はこう語っています。

 
分析法の進歩によって、温泉水中にきわめて微量に存在する元素の定量が行なわれるようになって来た。これらの微量成分は、地球化学的には温泉水中への導入、移動、沈積などの過程、すなわちそれらの輪廻の問題に関連して重要であり、医療的効果の面でも人体に対する作用は大きいと想像される。しかし分析例はそれほど多くなく、上述の問題の解明は今後に残されている。

湯原浩三(九州大学教授)
「温泉学」地人書舘刊

 

 
とにかく諸種の無機物、有機物の付加による浴修飾は今後の温泉治療研究の1つの興味ぶかい分野である。とくに古くは泉の精といわれた微量成分の付加は、それが助酵素的に作用しうるので、たとえ微量な含有量の、そのまた一部分しか経皮吸収されないとはいえ、下述のような体内偏在性からみて生物学的作用におよぽすところは大きいと考える。微量成分としては既述のごとく今日知られているだけでも極めて多数があり、それぞれの化学的生物学的意味の不明なところが多いのみでなく、浴作用への影響、及び成分相互問の交渉などについても殆ど不明である。泉液中の微量成分で生体内に多いのはFeであり、それにつぐのはZnである。

清水直太郎(九州大学教授)
「産婦人科と温泉療法」金原出版

 

 
微量成分の生物学的意義については、なお不明の点が多いが、生体の構成成分として、あるいは助酵素として、最近著しく関心が持たれるのである。ことにCu、Mn、Zn、Coの4つは、無機ヴィタミンとさえいわれる。
たとえばCuは、肝、網内系、血清蛋白のα-gl、骨髄、筋、心、腎、脳、毛髪などに多く含まれ、種々の酸化酵素の助酵素として働くものである。
Cuなしには、Feが血色素となり得ないし、l/10μg程度で肝のadrenalin-glycogenolysisを抑制して、血糖を下げる。なお下垂体・副腎系を賦活して、その機能を高めるといわれる。
Mnは骨、腎、膵、脳、下垂体、肝、副腎、胸腺、生殖腺などに多く、Phosphatase,argmase,cocarboxylaseなどと関係がある。
主な作用は生殖腺機能の賦活と、成長促進とであり、糖の分解を助ける。
Znは前立腺、膵、肝、骨、毛髪、爪、眼球の色素膜などに多く、phosphatase,unikase,calboxylaseなどを強化して、糖の分解を促す。
また生殖腺、下垂体前葉などを賦活し、l/10mμgで肝のadrenalineglycogenolysisを抑制するのである。
Coは肝、膵に見出され、ヴィタミンB12の成分である。赤血球の成熱に必要であるほか、蛋白代謝のtransmethylationに与る。

八田秋(九州大学名誉教授)
「温泉はどうして効くか」金原出版

 

 

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