ガスや水蒸気も立派な“温泉”
“温泉”といえば、地中からポカポ力湧いてくる温かい泉…と思われる方が殆どですね。
けれども温かい水の他に、ガスや水蒸気、それに冷たいと感じられる鉱泉までもが“温泉”と呼ばれているのをご存知ですか。
日本には温泉法というものがあり、地中から湧き出す水や水蒸気、それにガスで、
(1)常に摂氏25度以上の温度をもつもの
(2)指定物質18種類の成分のうち、いずれかが定められた含有量を越えているか、成分の総量が1000ミリグラム以上のもの
この1か2のどちらか一方でも条件を満たしていれば“温泉”と定められています。
温泉は地中のマグマによって温められるのですが、その際、単純に熱だけではなく、塩化水素や酸化炭素といったガス、更には通路の岩や土壌からカルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムといったミネラル(天然の化学成分)をその中に溶け込ませ地上に至るのです。
ですから温泉と真水の違いは、こうしたミネラルが大量に含まれているかどうかの差になるのです。
物質名 | 含有量 (1kg中) mg以上 |
溶存物質 (ガス性のものを除く) | 総量 1,000mg |
遊離二酸化炭素(CO2)(遊離炭酸) | 250mg |
リチウムイオン (Li+) | 1mg |
ストロンチウムイオン (Sr2+) | 10mg |
バリウムイオン (Ba2+) | 5mg |
総鉄イオン (Fe2++Fe3+) | 10mg |
マンガン(Ⅱ)イオン (Mn2+ ) (第一マンガンイオン) | 10mg |
水素イオン (H+) | 1mg |
臭化物イオン (Br–) | 5mg |
よう化物イオン (I–) | 1mg |
ふっ化物イオン (F–) | 2mg |
ひ酸水素イオン (HAsO42-) (ヒドロひ酸イオン) | 1.3mg |
メタ亜ひ酸 (HAsO2–) | 1mg |
総硫黄(S) [HS–+S2O32-+H2Sに対応するもの] | 1mg |
メタほう酸 (HBO2) | 5mg |
メタけい酸 (H2SiO3) | 50mg |
炭酸水素ナトリウム (NaHCO3) (重炭酸そうだ) | 340mg |
ラドン (Rn) | 20×10-10Ci = 74Bq以上 (5.5マッヘ単位以上) |
ラジウム塩 (Raとして) | 1×10-8 mg以上 |
【温泉法こぼれ話】
○温泉法は1948(昭和23)年7月10日に施行されました。
○今日まで十数回にわたり改正が実施されています。
○概要としては「温泉の保護等」「温泉の採取に伴う災害の防止」「温泉の利用」の3点が挙げられています。
○温泉法の根拠は1911年のドイツナウハイム決議による鉱泉の限界値が採用されています。ただし水素イオン、メタけい酸、ラジウムは日本で追加されました。
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