温泉の効用
古くから、温泉はその効用ゆえに大切にされてきました。
日本の農家では農閑期毎に“骨休みの湯”“土洗い場”などと称して長期の湯治を続け、その苛酷な労働に耐えた身体をいたわってきたのです。
そして誰言うとなく、“熱の湯”とか“痰の湯”、“痛風の湯”といった具合に、その効きめ毎に親しまれてきたのです。
温泉中に含まれる諸々の化学成分が関連しあって、ある特有の症状に特に効果を発揮するのです。
化学の進んだ現代の目から見ても、これは非常に合理的、かつ科学的なものでした。
最近、温泉に科学のメスが入れられ、多くの謎が解き明かされつつあります。
そして、現代人に多いストレスからくる数々の症状や、慢性の体質的な疾患に効果の高いことが立証されています。
けれども、温泉を温泉たらしめている化学成分、特に微量に含まれる成分についてはまだまだ未知の部分が多いのです。
大自然のエネルギーが生み出す温泉、それは人間の智恵をはるかに超えているといえるでしょう。
泉質別適応症
【一般適応症】
一般適応症 (すべての泉質) | 筋肉又は関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、 運動麻痺における筋肉のこわばり、 冷え性、末梢循環障害、 胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、 軽症高血圧、 耐糖能異常(糖尿病)、 軽い高コレステロール血症、 軽い喘息又は肺気腫、 痔の痛み、 自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、 病後回復期、 疲労回復、健康増進 |
【泉質別適応症】
泉 名 | 浴用による適応症 | 飲用による適応症 |
■単純温泉 | 自律神経不安定症、不眠症、うつ状態 | |
■塩化物泉 | きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 | 萎縮性胃炎、便秘 |
■炭酸水素塩泉 | きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症 | 胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症(痛風) |
■硫酸塩泉 | 塩化物泉に同じ | 胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘 |
■二酸化炭素泉 | きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症 | 胃腸機能低下 |
■含鉄泉 | 鉄欠乏性貧血 | |
■酸性泉 | アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症 | |
■含よう素泉 | 高コレステロール血症 | |
■硫黄泉 | アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害を加える) | 耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症 |
■放射能泉 | 高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など | |
上記のうち二つ以上に該当する場合 | 該当するすべての適応症 | 該当するすべての適応症 |
■単純温泉 ■塩類泉 ■特殊成分を含む療養泉
【泉質こぼれ話】
○泉質名は過去4回書き換えがあった。
「旧泉質名」昭和23年制定。
「新泉質名」昭和54年に施行。
「掲示用泉質名」昭和57年に施行。
「掲示用泉質名」平成26年に改訂。
温泉施設によって泉質名の掲示にバラつきが生じている。
○現在一般的には下記のような表示が基本
特殊成分―陽イオン(プラスイオン)―陰イオン(マイナスイオン)
例えば
含イオウ―カルシウム・ナトリウム―硫酸塩・炭酸水素塩泉
○泉質名がつくためには「療養泉」でなければならない。
物質名 | 含有量 (1kg中) mg以上 |
溶存物質 (ガス性のものを除く) | 総量 1,000mg |
遊離二酸化炭素(CO2)(遊離炭酸) | 1,000mg |
総鉄イオン (Fe2++Fe3+) | 20mg |
水素イオン (H+) | 1mg |
よう化物イオン (l-) | 10mg |
総硫黄(S) [HS–+S2O32-+H2Sに対応するもの] | 2mg |
ラドン (Rn) | 30×10-10Ci = 111 Bq以上 (8.25マッヘ単位以上) |
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